最近の活動

2021年9月3日
●2021年・第64回JCJ賞を発表
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で64回を迎えました。8月31日の選考会議で次の6点を受賞作と決定し、9月3日に発表しました。

【JCJ大賞】2点(順不同)
 ☆キャンペーン連載『五色(いつついろ)のメビウス ともにはたらき ともにいきる』 (信濃毎日新聞社)
 農業からサービス産業、製造業まで、「低賃金」の外国人労働者の存在なくして明日はない、日本の産業界。新型コロナ禍によって、その現実が改めて浮き彫りにされた。「使い捨て」にされ、非人間的な扱いをされている彼らの危機的な実態に迫ったのが、本企画である。
 「命の分岐点に立つ」外国人労働者の迫真ルポ、送り出し国の機関から日本の入管、雇用先、自治体など関連組織への徹底取材。半年にも及ぶ連載は、日本ではとかく軽視されがちな外国人労働者問題の深刻さを、私たち1人1人が真剣に考えていくための新たな視座を提供してくれる。

 ☆平野雄吾『ルポ入管―絶望の外国人収容施設』 ちくま新書
 外国人を人間扱いしない入国管理制度の現場の実態を生々しく伝えるとともに、憲法や国際的な常識を逸脱した各種の判決を含め、入管制度が抱える法的な問題点をも明らかにしたルポである。日本の政治と人権をめぐる状況の象徴のひとつといえる入管制度であるが、入管制度の法改悪はいったん頓挫した。それはスリランカ人女性の死という犠牲があったうえのことだ。
 出入国在留管理庁という機関が誕生したいま、今後も改悪の動きは出てくることが予想される。そのためにも多くの人に読んでほしい1冊であり、グローバルな視点を持ったルポとして賞にふさわしい。

【JCJ賞】3点(順不同)
 ☆菅義偉首相 学術会議人事介入スクープとキャンペーン (しんぶん赤旗)
 2020年10月1日付1面トップで、就任したばかりの菅義偉首相が、日本学術会議から推薦を受けた次期会員候補数人を任命拒否した問題をスクープした。同日付の赤旗電子版で、任命拒否された6氏の氏名を報じ、続くキャンペーン報道で、学問の自由への不当介入を厳しく批判し、任命拒否の6氏は安倍内閣の安保法制、共謀罪の反対者であると明らかにした。
 当事者だけでなく幅広い研究者団体の声を紹介。1983年に学術会議法を改定した際の政府文書で、首相の任命は形式的と明記していたことを報じ、任命拒否の不法性を告発した。昨年の「桜を見る会」(赤旗日曜版)問題に続く、権力者トップの違法行為を暴いた傑出したスクープといえる。メディア各社が後追いし、国会の追及に菅首相は答弁不能に陥る事態となった。

 ☆ETV特集「原発事故“最悪のシナリオ”~そのとき誰が命を懸けるのか~」 (NHK)
 2011年3月、東日本大震災で東京電力福島原発爆発事故が発生した。番組は当時、この事故による「最悪のシナリオ」が首相官邸・自衛隊・米軍でそれぞれ作られていたことを明らかにする。菅直人首相、北沢俊美防衛相ら100名以上の関係者に取材した証言を積み重ね、事態が「最悪のシナリオ」寸前の危機にあったことを浮かび上がらせる。
 番組は、東京電力の無責任・不誠実な対応を暴き出す。自衛隊幹部は、東電の勝俣恒久会長(当時)から「(爆発した)原子炉の管理を自衛隊に任せたい」と依頼された事実を証言するが、勝俣氏をはじめ東電幹部は誰一人、インタビュー要請に応じない。原発再稼働を画策する人たちは、この番組を見て思考停止を解き、もう一度考える必要がある。

 ☆映画「標的」(監督・西嶋真司 製作・ドキュメントアジア)
 元朝日新聞記者の植村隆は1991年8月、「元慰安婦 重い口を開く」と記事を書いた。約四半世紀後の2014年、櫻井よしこらによる植村へのバッシング攻撃が突然始まった。映画「標的」は植村に対する卑劣かつ凶暴な攻撃の実態と、植村の訴えに背を向け、不当判決を繰り返す司法の不当な姿を映し出す。歴史修正主義の逆流を剝き出しにした攻撃と闘う植村に、一筋の光となる記事が見つかった。「週刊時事」(92年7月18日号)に櫻井寄稿の原稿が掲載されている。その中で櫻井は「売春という行為を戦時下の政策の一つとして、戦地にまで組織的に女性たちを連れて行った日本政府の姿勢は言語道断」と書いている。植村の記事と同じ内容だ。
 植村は、朝日新聞阪神支局で赤報隊の銃弾に斃れた(1987年5月)小尻記者の墓に足を運び、手を合わせた。小尻とは同期入社の仲だ。「バッシングは許せないと、多くの人が支援してくれる。私には喜びであり、感謝しかない」と植村。ジャーナリズムは植村を孤立させてはならない。

【JCJ特別賞】1点
 ☆俵義文  日本の教科書と教育を守り続けた活動
 子供たちを再び戦争に送り込む教育は断じて許せない。その信念のもとに俵義文は「子どもと教科書全国ネット21」の事務局長(のち代表委員)として政府の教科書検定や教育基本法の改悪などと闘い、「新しい歴史教科書をつくる会」や「日本会議」による教科書採用圧力などの攻撃に対して粘り強く運動を展開し反撃してきた。
 活動の集大成として昨年末に『戦後教科書運動史』を出版し、多様な教科書攻撃の実態とその害毒の深刻さ、社会的反撃などを克明に記録し、的確な分析を加えた。しかし本年6月7日、惜しまれながらその80年の生涯を終えた。文字通り人生を捧げて日本の教科書と教育を守り続けた活動の意義は大きく、故人とその業績に対してJCJ特別賞を送る。                                                      (敬称略)



2021年8月22日
オンライン講演会
「敗戦から76年、日本は再び戦争をするのか?」
 講師は防衛ジャーナリスト・半田滋さん(元東京新聞論説兼編集委員)。
 解釈改憲で集団的自衛権を合憲とし、戦争法をつくった自公政権。台湾有事になれば、日本が米軍の戦争に巻き込まれる危険性は極めて高い。中距離ミサイルなどを沖縄や周辺の諸島の自衛隊基地に配備する計画も進む。
 米国にNOと言えない日本。今こそ、ASEAN(東南アジア諸国連合)と一緒になって、米中に物申す平和外交が求められると半田さんは語った。

 

2021年8月7日
植村訴訟最終報告会と「金学順さんが名乗り出た時――記者たちの証言」シンポ
 旧日本軍によって従軍慰安婦にされた韓国人女性、金学順(キム・ハクスン)さんが、自分は元慰安婦だったと会見で明らかにしてから30年。その証言を考えるシンポが東京のプレスセンターホールで開かれた。
 証言テープを聞いて、いち早く報じたのが当時、朝日新聞大阪社会部記者だった植村隆さん(現「週刊金曜日」発行人)だった。北海道新聞ソウル支局長だった喜多義憲さんは金さんへの単独インタビューに成功し、8月15日付社会面に「日本政府は責任を」の記事を出した。ドキュメンタリー「標的」を制作した元RKB毎日放送の西嶋真司さんもソウル支局長時代の91年末、金さんを取材。毎日新聞記者の明珍美紀さんは91年8月14日の金さんの会見に出席し、9月28日付毎日新聞に「消えぬ朝鮮人慰安婦の傷」の見出しで「記者の目」を書いた。

 

2021年7月11日
オンライン講演会
「原発事故後の福島を撮り続けて10年」
 講師はフォトジャーナリスト・山本宗補さん。
 事故後10年、避難指示区域の7町村の住民7万人のうち戻れたのは1万人弱。大熊町では特定復興再生拠点の地区だけが除染されて30億円かけた町役場の新庁舎が建設、見せかけの町残しだ。双葉町では復興予算53億円で原子力災害伝承館が建ったが墓石は倒れたまま。浪江町も日中からサルの群れが往来、一時帰宅に同行すると家の中は動物に荒らされ放題。どの町も復興には程遠く、国による棄民が繰り返されていると山本さんは語気を強めた。

 

2021年7月9日
JCJ声明:建造物侵入罪の濫用は取材行為への脅しに直結
 北海道新聞記者の逮捕に抗議する



2021年7月4日 
横浜市長選をテーマに神奈川支部例会
 7月4日、JCJ神奈川支部は横浜市内で支部総会と例会を開催した。
 例会のテーマは横浜市長選の行方。朝日新聞横浜総局の武井宏之記者が、最新の情勢を語った。現職閣僚で自民党県連会長を務めた小此木八郎氏が、カジノ誘致反対の意向を示して立候補表明し、混沌としてきた市長選の現状を解説した。
 想定外の情勢に参加者の関心も高く、「菅首相と小此木氏間に合意があるのか」など、多くの質問が相次いだ。

 

2021年6月27日
第5回世界報道の自由デー・フォーラム(オンライン開催)
 「アジアの報道の自由とジャーナリズム:ジャーナリスト、市民、学生の対話」
主催:法政大学図書館司書課程 共催:日本ジャーナリスト会議、AMILEC(アジア太平洋メディア情報リテラシー教育センター)
 国境なき記者団東アジア支局長のセドリック・アルビアーニさんとジャーナリストの澤康臣さん(専修大学教授)、「NHKとメディアの今を考える会」の丹原美穂さんがスピーチ。大学生(法政大学坂本ゼミ、同志社大学小黒ゼミ、武蔵大学松本ゼミ)が様々な報告をし、意見交換をした。

  セドリック・アルビアーニさん         澤康臣さん   
 
ユネスコが提唱する世界報道の自由デー(毎年5月3日)  



2021年6月19日
オンライン講演会「ロッキード疑獄から45年 角栄を葬り去ったのは誰だ!」
 講師は国際ジャーナリストの春名幹男さん(元共同通信社記者)。米ロッキード社から5億円のワイロを受け取った容疑で田中角栄前首相が逮捕された事件は、日本のみならず世界に衝撃を与えた。あれから45年が経過。取材に15年をかけた渾身のノンフィクション「ロッキード疑獄」(KADOKAWA)の著者・春名幹男さんは様々な陰謀説の真偽を検証。対中国政策などをめぐり、当時の米国・キッシンジャー氏が日本・田中角栄氏に嫌悪感を抱き、その確執が事件表面化の要因だったと分析している。一方で、裏社会の巨悪は見逃されたと。

講演する春名幹男さん  

 

2021年6月12日~7月4日
夏のジャーナリスト講座(全4回=テレビ記者編)
 ①6月12日「テレビ記者疑似体験! その厳しさ、面白さ」 
  講師:元TBSキャスター・下村健一さん(令和メディア研究所主宰/白鴎大学
  特任教授/インターネットメディア協会理事/元内閣広報室審議官)  
 ②6月20日「テレビ局エントリー動画で学ぶ、映像リポート実習」
  講師:元TBSキャスター・下村健一さん 
 ③6月26日「ジャーナリズムは“機密”にどう向き合うか~3つの重大事件から学ぼう」
  講師:NHK放送文化研究所(元チーフ・ディレクター)佐々木英基さん 
 ④7月4日「テレビ記者座談会――仕事の現場はどうなっているか」
  進行役は下村健一さん。テレビ朝日、北海道放送(HBC)、
  山形放送(YBC)の記者が参加。



2021年5月15日
オンライン講演会「ミャンマーはどうなっているのか」
 講師はドキュメンタリー監督の岸田浩和さん。ミャンマーの軍部はなぜクーデターを起こしたのか、その背景には2点あると指摘した。一つは、軍に有利な現行憲法に対して、アウンサンスーチー国家顧問が改正を主張し始めたこと。も一つはスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権が国境地帯の麻薬取引にメスを入れ、軍幹部に還流する裏金が止まる恐れが強まったことだという。ヤンゴンに留学経験があり、継続的にミャンマーの少数民族問題や宗教対立の取材をしている岸田さんならではの解説に聞き入った。

  岸田浩和さん ネットに掲載されたミャンマーからの写真

 

2021年4月24日 
新型コロナで講演会 ワクチンの遅れなど政府の対応に問題
 新型コロナ感染症(COVID-19)の感染拡大から1年。「新型コロナから身を守る~正しく知り正しく恐れよう~」をテーマに、JCJ北九州支部長(歯科医師・ジャーナリスト)の杉山正隆氏が福岡・中間市立生涯学習センターで講演。歯科医師によるワクチン接種が厚生労働省の有識者会議で認められたことや、背景として日本のワクチン供給量が諸外国と比べて極めて少ないことを解説。「先進国中、日本のワクチン接種率は最低水準。菅首相ら政治家に危機感も決断力も欠如している」と指摘した。

 

2021年4月24日
JCJ神奈川支部講演会「遅れた日本社会 ジェンダーは今」横浜・かながわ県民センターで開催
 講師は横浜弁護士会の太田伊早子弁護士。太田氏は、今年の世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数の日本の順位が、世界153か国中120位だったことを入り口に、文化的、社会的な性差であるジェンダーという考え方を平易に説明した。
 また同性婚や選択的夫婦別姓をめぐる最近の動き、森元首相の女性蔑視発言にもふれ、男女差別をめぐる社会意識が大きく変化していると語った。

 

2021年4月24日
オンライン講演会「デジタル法案の問題点と暮らしへの影響」
 講師は弁護士の大住広太さん。個人情報がデジタル化された場合、怖いのは本人が知らぬ間に、権力機関や企業にその個人情報を利用されることだ。AI(人工知能)の技術が進んだ現在、ちょっとした個人情報を数件、AIに入れただけで、思いもかけぬ予測ができる。近い例では就活における学生の内定辞退率を就職支援会社が個人情報から算定し、顧客企業に販売していた問題があった。個人情報の保護が万全でないなか、日本は監視社会へ突き進むと警告した。



2021年4月21日
JCJ声明:ミャンマー軍の日本人記者拘束に抗議し、断固たる対応を日本政府に求める

2021年4月10日
オンライン講演会「スクープの秘訣――『週刊文春』『赤旗』のリーダーに聞く」
 講師は『週刊文春』編集局長・新谷学さん、『しんぶん赤旗日曜版』編集長・山本豊彦さん。進行役はJCJ代表委員・藤森研さん。ニュースの端緒に気付くには記者が「何かないかと常に探す姿勢が大事で、単に仕事をこなす、やらされている感だと、端緒に気付かない」と助言。「これはすごいニュースになるかも、というきっかけをつかんだ時、編集長の覚悟、腹のくくり方でスクープをものにできるか否かが決まる。コストもリスクもあるが、フルスイングしようと覚悟できるかどうかだ」との指摘もあった。 

写真・右から新谷さん、山本さん、藤森さん


2021年3月26日
ドキュメンタリー映画「標的」の試写会
 元朝日新聞記者、植村隆さんの裁判をめぐるドキュメンタリー映画「標的」の試写会が行われた。九州民放OB会とJCJ福岡支部の共催。植村さんを「ねつ造記者」と決めつけた櫻井よしこと報道した週刊文春を相手どり札幌地裁に、また同様に誹謗した西岡力を東京地裁に訴えた訴訟を軸に「人権」「報道の自由」を正面から問うた力作だ。
 当日は共催団体の会員以外にも関心のある市民が多数詰めかけた。監督の西嶋真司さん(JCJ福岡支部幹事)が「権力にコントロールされるメディアであってほしくないし時代が変わってもメディアが権力と闘ってほしいとの強い願いを込めて制作しました」とあいさつした。

 

2021年3月21日
オンライン講演会「政治とメディアを考える」
 講師は元朝日新聞記者でTBS「NEWS23」のスペシャルコメンテーターの星浩さん。政治とカネの問題や政権のスキャンダルを解明するには「検察庁頼みでは限界がある」と指摘し、米国のような政権交代がもっとも有効な手段であると強調した。次々回の総選挙あたりが交代のチャンスになり得ると予測した。日米で対中ミサイル包囲網づくりが進んでいることに警鐘を鳴らし、憲法上どこまで許されるか、問題となると語った。

 

2021年3月12日
JCJ声明:右派論客の「虚偽と改ざん」明らかにした植村裁判

2021年3月10日
JCJ声明:東日本大震災から10年、原発事故を風化させてはならない

2021年3月8日
JCJ声明:スラップ訴訟と闘う神奈川新聞・石橋学記者を全面的に支援する

2021年2月13日
オンライン講演会 『ヤジと民主主義』から香港問題まで――北海道放送の挑戦
 講師は北海度放送(HBC)報道部編集長の山崎裕侍さん。2019年夏の参院選挙で、札幌市で街頭演説をする当時の安倍晋三首相に対し「安倍やめろ」と歩道から叫んだ男性が複数の警察官によって現場から排除された。警察は何を根拠に一個人のヤジを封殺したのか。そこに民主主義の危機を感じ取った北海道放送のディレクターらが問題解明に挑んだ。



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