〈JCJ 8月集会〉軍拡の動きに、私たちはどう対抗するか ―― 戦後80年を前に 【集会に向け寄せられたメッセージ から(守屋 龍一(JCJ出版部会))】

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私の思いを綴った備忘録から、〈終戦8・15〉を巡る随想を3つほど披露し、平和を願う私のメッセージとしたい


母の8・15と私の胃カメラ写真

 私の母は2014年に白寿で亡くなったが、母が迎えた1945年8月15日の話から始めよう。〈その日はカンカン照り。夫は長野須坂の部隊にいて不在。留守を預かる浦和市常盤町の借家で聞いた玉音放送は、ガーガーという雑音入りでよく聞きとれなかった。それよりも「死ななくてすむ」という安堵感で、5歳を頭に3人の子をひしと抱きしめた。町会長が日本の敗戦を住民に改めて告げて回った。その夜は残りわずかの配給の芋を蒸かし、玉蜀黍の屑粉を湯で溶いてみんなで食べた〉
 とつとつと思いを込めて語ったのは、2005年の8・15だった。その時、63歳の私は母の話を咀嚼しつつ、胃カメラ検査で医者へ。渡された胃のレントゲン写真に2005.8.15の日付が印字されていた。
                                      (2005/8/15)


「丸山眞男」の横っ面をひっぱたく世

 2014年に生誕100年を迎えた丸山眞男は、くしくも敗戦の8月15日、82歳で生涯を閉じた。戦後日本が生んだ最大の知識人といわれるが、その軌跡はどうであったのか。
 学生時代に読んだ『超国家主義の論理と心理』(未来社)には圧倒され、〈軍国支配者の精神形態と無責任の体系〉というキーワードは、目から鱗だった。その後、全共闘世代によって、戦後民主主義の欺瞞の徴として糾弾され、時には「観念論的・傍観者的歴史観」との批判も高まった。
 福沢諭吉を「典型的な市民的自由主義」の思想家とする評価も、彼が勝手な読み込みによって造りあげた虚像だとする研究もある。
 さらにフリーターの赤木智弘は、陸軍2等兵として徴兵された丸山が、中学にも進んでいない1等兵から執拗なイジメのビンタを受けた体験に関連し、今の若者は、社会に出ればすぐ序列が決められ、一方的にイジメぬかれる。
 「戦争は、現状をひっくり返して『丸山眞男』の横っ面をひっぱたける立場にたてるかもしれない、まさに希望の光」とすらいう。
  丸山は除隊後、広島で被爆。戦後、一貫して平和と民主主義を根源的に問いつづけた彼が、ひっぱたかれる世になった。どう考えたらよいのか。
                                      (2014/8/17)



戦後77年「8・15」を顧みるに大事な出来事 
 
 ▪︎戦争の77年・平和の77年─2022年の現在から顧みるに、日本は明治維新(1868年)から敗戦(1945年)までの77年が「戦争の時代」。無謀なアジア・太平洋戦争に突入し、敗れたのち平和憲法のもとに歩んできた戦後77年は「平和の時代」である。
 しかし、いまその歩みに急ブレーキが掛けられている。専守防衛から敵基地攻撃にカジを切り、米国の核兵器を国内に配備し、日米で共同運用する「核共有」に向け、憲法9条をズタズタにする動きが強まっている。
 第2次岸田内閣が発足しても、統一教会との関係では閣僚20人のうち7人、副大臣・政務官54人中19人が接点を持っていた。また安倍政権の大軍拡・改憲シフトは継承し、コロナ感染拡大・物価高騰・賃金格差・ジェンダー問題などなど、山積する課題への取り組みは「検討する」のみ。まさに「検討使」内閣だ。

 ▪︎ベーブ・ルースと大谷翔平─8月16日は「ベーブ・ルース忌」だ。あの〝野球の神様〟といわれた米国の大リーガー、ベーブ・ルースが、今から74年前の1948年に53歳で亡くなった日。
 くしくもこの8月10日に、エンゼルスの大谷翔平投手が、「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を達成した。元祖二刀流のベーブ・ルースが1918年に達成して以来、104年ぶりである。その快挙への賞賛は世界に拡がる。
 40歳になったベーブ・ルースは、戦前・1934年11月2日に来日している。米国大リーグ選抜チームの一員として、大凶作に見舞われた国内を巡回し全18試合を行った。日本チームは歯が立たず大敗した。

 ▪︎デッチあげられた松川事件─さて、もう一つ、今から73年前、1949年8月17日、松川事件が勃発した。当初から松川事件は、下山事件(7/6)、三鷹事件(7/15)と合わせ、国鉄労組への日米権力が共同した弾圧であり事件捏造の疑いが言われていた。
 1963年9月12日、最高裁は被告たちに無罪を言い渡した。裁判の流れを決定的に変え、無罪を勝ち取る経過には、新証拠の発見とともに、作家広津和郎らによる被告の救済支援活動をはじめ、学者・文化人、市民をも巻き込んだ国民運動の発展があった。日本ジャーナリスト会議も参加している。
 こうして振り返ってみると、「8・15」前後には、エポックメイキングな出来事が起きていたのだ。歴史を見つめ今を考える良い機会にしたい。
                                      (2022/8/14)       


                                  守屋 龍一(JCJ出版部会)                                                                                                                                                                   
                                     




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開催趣旨と呼びかけ
 来年は戦後80年。しかしこの間、自公政権は憲法9条を骨抜きにし、「敵基地攻撃能力」の保持を決めるなど、平和を脅かす軍拡への道を突き進んでいます。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)は「2度と戦争のためにペン、カメラ、マイクを持たない」という決意のもと、コロナ禍以降5年ぶりに8月集会を開きます。市民とジャーナリストが手を携えて軍拡に対抗し、平和を築くためにはどうしたらよいのか、ともに語り合う場にしていきたいと考えています。

■プログラム
 第1部:基調講演 
  ●川崎 哲(かわさき あきら)さん
 ピースボート共同代表。2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンぺーン(ICAN)」の国際運営委員兼会長(2012~14年同共同代表、14年から国際運営委員、21年から会長兼任)。核兵器廃絶日本NGO連絡会の共同代表として、NGO間の連携および政府との対話促進に尽力してきた。ピースボートでは、地球大学プログラムや「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」をコーディネート。2009~2010年、日豪両政府主導の「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」でNGOアドバイザーをつとめた。立教大学兼任講師。日本平和学会理事。著書に『核兵器 禁止から廃絶へ』(岩波ブックレット、2021)、『僕の仕事は、世界を平和にすること。』(旬報社、2023)、『核兵器はなくせる』(岩波ジュニア新書、2018)など。2021年、第33回谷本清平和賞受賞。1968年生まれ、東京大学法学部卒業。

     
 第2部:シンポジウム
  ●川崎 哲(かわさき あきら)さん(同上)

  ●大森 淳郎(おおもり じゅんろう)さん
1957年埼玉県生まれ。1982年NHK入局。ディレクタ-として主にETV特集を手掛ける。2016年に放送現場を退き、NHK放送文化研究所に研究員として勤務。22年退職。著書に『BC級戦犯 獄窓からの声』(日本放送出版協会、2009年)、『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』(講談社、2012年)、『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版、2023年)、全て共著。

  ●久道瑛未(ひさみち えみ)さん
2018年、東北大学法学部卒業、20年に一橋大学法科大学院修了、22年、弁護士登録(74期)。一般市民法務・企業法務に幅広く取り組む。中でもインターネット上の名誉毀損対応、発信者情報開示請求の対応が多い。学生・修習生時代から公益活動に広く関心をもち、ビジネスと人権・憲法問題・公共訴訟・環境問題などをテーマにシンポジウムやイベントの企画運営を行ってきた。弁護士登録後も継続して弁護士会委員会活動・特定非営利法人CALL4の活動等プロボノ活動にも積極的に取り組んでいる。

  ●藤森 研(ふじもり けん)JCJ 代表委員・コーディネーター 


■会場参加される方は事前にJCJ事務局への連絡をお願い致します。
  メール:office@jcj.gr.jp 電話:03–6272-9781(月・水・金 13:00〜17:00)

■オンラインでご参加の方へ
 当該イベントはインターネットを通じオンラインで視聴参加出来ます。
 お申し込みはhttps://jcj0817.peatix.com/へのアクセスかスマホで下のQRコードを読んで。お一人1,000円、ピーティックス ( Peatix )からのお支払となります。



■会場(エデュカス東京)アクセス