〈JCJ声明〉⾸相官邸幹部の「核保有発⾔」に強く抗議し、⼀刻も早い罷免を求める。

 安全保障政策を担当する首相官邸幹部が、今月18日、個人の見解としつつ「日本は核を保有すべきだ」と発言したことが明らかになった。
日本が堅持する「非核三原則」を踏みにじる発言であり、被爆地の広島・長崎の人たちからは怒りの声が上がっている。
再び戦争を起こさないことを誓った日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、この幹部の発言に危機感を持ち強く抗議する。あわせて高市首相にこの幹部の一刻も早い罷免を求める。
「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」とする非核三原則は、原爆投下の惨状を知る日本が生んだ、世界の指針だ。いま、核兵器禁止条約の批准国が増える中で、ますます大事な平和原則となっている。
日本が核兵器を保有するには核不拡散条約(NPT)の脱退が前提になるが、ロシアの侵略や、トランプ米政権の不安定な核政策もあいまって、現下の国際情勢下での「平和国家」日本の脱退は各国のNPTからの「ドミノ脱退」を誘発し、最悪の核軍拡競争さえ招きかねない愚挙である。
この幹部の発言は記者団との「オフレコ」の場で起きたが、複数のメディアがあえて報道した。「オフレコ発言を了解も取らずに報じるのは問題」という批判もあるが、発言を報じることに重い公共・公益性などがある場合には、市民の知る権利こそが優先される。
 そもそも報道の原則は実名であり、日本新聞協会なども「安易なオフレコ取材は厳に慎むべき」としている。メディアには、発言をした幹部を明らかにすることが求められているのではないか。
 高市政権では、高市首相自身が、台湾有事をめぐり軽率な「存立危機事態」発言をしたほか、非核三原則の部分的な見直しについても否定していない。今回の幹部発言も高市政権の極めて危険な歪みを現わしており、とてもこのまま見過ごすことはできない。
各メディアが、戦後日本の平和主義に足場をしっかりと据えて、軍事国家へと暴走しかねない高市政権の危険性を徹底的に追及していくことを期待していきたい。


                                  2025年12月21日     
                          日本ジャーナリスト会議(JCJ)