〈ジャーナリスト8月号・掲載予定〉惨劇はなぜ起きたのか・・・『福田村事件』9月全国公開
「関東大震災から5日が過ぎた1923年9月6日、千葉県東葛飾郡福田村の利根川沿いで、多くの人が殺された。でもこの事件を知る人はほとんどいない。皆が目をそむけてきた。見て見ないふりをしてきた。惨劇が起きてから9年が過ぎたけれど、事実を知る人はもうほとんどいない」と、森監督は製作した思いを語る。歴史の闇に葬られていた「福田村事件」、100年となる日を公開日とした。(2023年8月25日掲載予定 「ジャーナリスト」第785号)
■〈JCJ Online講演会〉JCJオンラインでは全国一斉公開に先立つ8月27日、森達也監督をお招きして講演会を緊急企画!
ちょうど100年前の1923年9月6日、関東大震災5日後の大混乱と流言蜚語が飛び交う中、香川県からの薬の行商団が千葉県東葛飾郡福田村(現・野田市)で地元の自警団により9名が殺害されました。
「行商団一行の話す方言(讃岐弁)が千葉県の人には聞き慣れずほとんど理解できなかった」「千葉県の人との意思疎通の際に話す標準語も発音に訛りがあり流暢でなかった」などを理由に朝鮮人と見なされた。治安維持の名の下に軍隊や在郷軍人、自警団が関わった殺傷事件が多発。朝鮮人の虐殺、社会主義者の弾圧が大規模に行われた。
「日本はむしろ自分たちの失敗から目を背けたがっているように 思える。それを個と集団の相克から検証し続けることは僕の ライフワークです。だから福田村事件にも必然的に引き寄せられていったのかもしれない」と語る森達也監督、公開を前にどんな言の葉が紡がれるのか、注目です。
朝鮮人虐殺を記事にしようとして上司と対立する女性新聞記者が登場するといいます。「新聞は何のためにあるのか」と迫る記者。この問いは今、100年前よりも痛切に響くものなのではないでしょうか。
■森達也監督プロフィール
1956 年 5 月 10 日、広島県呉市生まれ。95 年の地下 鉄サリン事件発生後、オウム真理教広報副部長であ った荒木浩と他のオウム信者たちを被写体とするテ レビ・ドキュメンタリーの撮影を始めるが、所属する 制作会社から契約解除を通告される。最終的に作品 は『A』のタイトルで 98 年に劇場公開され、さらに ベルリン国際映画祭など多数の海外映画祭に招待さ れて世界的に大きな話題となる。
99 年にはテレビ・ドキュメンタリー「放送禁止歌」を発表。2001 年には映画『A2』が山 形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。映画作品は他に『311』(11)、 『FAKE』(16)、『i~新聞記者ドキュメント』(19)などがある。 2011年「A3」(集英社インターナショナル)が講談社ノンフィクション賞を受賞。他の 著作に、「放送禁止歌」(光文社智恵の森文庫)、「職業欄はエスパー」「いのちの食べかた」「死 刑」「クォン・デ~もう一人のラストエンペラー」(角川文庫)、長編小説作品「チャンキ」(論 創社)、「すべての戦争は自衛から始まる」(講談社文庫)、「U 相模原に現れた世界の憂鬱な 断面 (講談社現代新書)」などがある。近著は「千代田区一番一号のラビリンス」(現代書館)。
■オンライン講演開催日時:8月27日(日)14:00〜16:00(zoomにてオンライン)
■参加費:500円
当オンライン講演会に参加希望の方はPeatix(https://jcjonline0827.peatix.com/)で参加費をお支払いください。
※スマホでQRコード読み取り、お申し込み出来ます
(JCJ会員は参加費無料。jcj_online@jcj.gr.jp に支部名を明記の上お申し込み下さい)
■映画『福田村事件』予告編
■映画『福田村事件』公式サイト
www.fukudamura1923.jp
■森監督から提供いただいた参考写真 ©「福田村事件」プロジェクト2023
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
03–6272-9781(月水金の13時から18時まで)
https://jcj.gr.jp/