〈2025.10月号 書評〉井上 伸(著)』民主主義のためのSNS活用術 連帯と共感のツールとして』・・・政治や社会を動かす重要なツールをいかに使うか 評者:矢野 彩子(愛知県医労連書記長)

「SNSって炎上が怖いから見ているだけ。投稿しても見てもらえない」と思ってませんか?
著者のSNS投稿は、独自のグラフを用いて説得力があります。筆者の属する愛知県医労連も、を入れるきっかけとなりました。
選挙の投票に際し何を参考にするか、30代以下ではSNSが65%に上っています(NHK 2025年5月調査)。LIN Eを選挙に使う際も「一方的に情報を送りつける」のでなく、自分の「思い」を添え、相手の感想を一言聞くなど双方向で使うことが大事など、著者の具体的なアドバイスも納得。労働運動や社会活動にSNSを活用し、政治を動かした実例も多数紹介されています。選挙以外でもSNSの重要性がよくわかります。
SNSをしていると、心ないコメントに心が折れそうになる時もあります。ネット右翼に絡まれて黙っていては相手の思う壺。「相手は私たちを 黙らせたい、発信をやめさせたい一念」と、指摘 する著者の言葉に、これで黙ってしまえば相手の思い通りになると勇気を奮い立たせてくれます。
主にネット(特にSNS)から情報を得ている若い世代にとって、SNS上にない情報は、存在しないことと一緒なのです。私たちの思いを届けるには、SNSを活用するしかありません。私たちがSNS上で存在感を示さなくては、デマや差別で埋め尽くされてしまいます。
本書を手に、SNS未経験の方も、ぜひ一歩踏み出してほしいのです。民主的な発信を増やし、SNS上での多数派を目指しましょう。(日本機関紙出版センター 1,300円) 矢野 彩子(愛知県医労連書記長)