〈2026.2月号 書評〉清原悠 (編著), 模索舎アーカイブズ委員会 (監修)『自由への終わりなき模索──新宿、ミニコミ・自主出版物取扱書店「模索舎」の半世紀』・・・不思議な書店「模索舎」の全体像に迫る 評者:鈴木 耕(編集者)


本書は900頁、厚さは4センチを超える。一晩で読もうなんて不可能だが、少しずつ読んでいくと〝あの時代〟を知る者なら確実に胸が熱くなる。動乱の1970年に産声を上げ、今も東京新宿にある「模索舎」という不思議な書店の歴史の完全版だ。
そこには他の本屋ではまったくお目にかからなミニコミや小冊子、新左翼と呼ばれた各党派の機関紙、ホッチキスで綴じた雑本までが並んでいた。つまり不穏な気配漂う社会運動のゴッタ煮とでもいうべき書店だったのだ。
私が本書を取り上げるのには理由がある。模索舎創設の主役は五味正彦だったが、五味と親交の深かった川口秀彦が私の親友だった繋がりで、私も五味とは大学時代からの知り合いだった。
川口が本書に寄稿した一文「模索舎外伝・五味正彦の思い出」には、私もほんの少しだけ関わった、大学時代の全共闘運年月を経て紆余曲折、私は五味とそれなりのつながりを持ち続けた。新宿の「かくれが」という当時を彷彿させる地下のバーで、五味や戸井十月らと酒を酌み交わしたこともあった。五味も戸井も早逝した。
個人的な話は措くとして、本書の凄まじさは模索舎に関係した人々へのインタビュー、五味が所蔵のコレクションを読み解き、さらには現在に至る流れを克明に追い、模索舎の全体像を立体的に構成している点だ。70年代からの社会の激流を、これほどまでに眼前とさせる本は空前絶後である。 評者:鈴木 耕(編集者) (河出新書 7,000円)


