JCJ書評
〈2025.9月号 書評〉後藤秀典(著)「ルポ 司法崩壊」・・・国民からの信頼に背く最高裁  評者:樋口 英明(元裁判官)新着!!

 福島原発事故による損害について、最高裁の多数意見は国に賠償責任がないとした。国に賠償責任があるとした説得力に富む三浦裁判官の意見ではなく、なぜ全く説得力のない意見が、多数意見なったのだろうか。 本書は、その背景を綿 密 […]

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〈2025.9月号 書評〉安田 菜津紀(著)「遺骨と祈り」・・・〈不条理が強いられた場所「踏みつけられる」人びと〉  評者:川上 泰徳(中東ジャーナリスト) 新着!!

 フォトジャーナリストである著者が、福島、沖縄、パレスチナの3つの場所を巡る6年間の取材記録である。共通するのは「不条理を押しつけられた場所」。 福島では遺骨を探す男性。地震と津波で父と妻と次女を失い、原発事故で避難する […]

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〈2025.9月号 書評〉辻元清美+小塚かおる(著)「日本政治の大問題」・・・有識者の貴重な意見や分析を糧に日本の在り方を探る  評者:鈴木 耕(編集者)新着!!

 リベラル派の若き旗手として政界に躍り出た辻元清美氏も、もう還暦を越えた。今や重鎮政治家として日本の舵取りを担うべき地位にいる。彼女が対談相手に選んだのが日刊現代第一編集局長の小塚かおる氏。日頃から息が合う友人関係だから […]

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〈2025.9月号 好書耕読〉与那覇 恵子(著)「沖縄を「悲しい宿命の島」にするのは誰か?」・・・沖縄が告発する日本の危機  選者:谷山 博史(沖縄対話プロジェクト発起人) 新着!!

 与那覇恵子『沖縄を「悲しい宿命の島」にするのは誰か?』(コールサック社)は、沖縄を「宿命の島」にしようとする者たちへの怒りと抵抗の書であり、怒りと抵抗に実証的な肉付けを与える理論の書である。 この原稿を書いている時、著 […]

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〈2025.9月号 好書耕読〉烏谷 昌幸(著)「となりの陰謀論」・・・国際政治をも動かす陰謀論  選者:岩下 結(「本屋とキッチンよりまし堂」店主) 新着!!

 参院選における参政党の躍進は、多くの市民を戦慄させた。それは彼らの極右的主張のみならず、荒唐無稽な陰謀論や似非科学(「メロンパン」 から「文化マルクス主義」まで)を公然と語り、メディアやSNS上で、どれほど否定されても […]

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〈2025.8月号 書評〉山田 健太(著)「転がる石のように──揺れるジャーナリズムと軋む表現の自由」・・・表面の時流に流されず現場から説く鋭い定点時評  評者:藤森 研(JCJ代表委員) 

 戦後80年。日本の言論状況はどう変遷してきたのか。 「約20年ごとに、構築期・躍動期・挟撃期(権 力と市民双方からのメディア攻撃)・忖度期にま とめられる」と、著者は さらりと書く。テレビ誕生、ベトナム報道、報道 の人 […]

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〈2025.8月号 書評〉萩原 健(著)「ガザ、戦下の人道医療援助」・・・破壊しつくされる日常その中で命を救う活動  評者:猫塚 義夫(北海道パレスチナ医療奉仕団団長) 

 イスラエルによるガザの軍事侵攻は、2年弱の 間に6万人の犠牲者と14万人の負傷者を生み出した。瓦礫と化したガザでは、多くの餓死者が出るなど、多面的なジェノサイドが進行中だ。 著者は運動体としての国境なき医師団(MSF) […]

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〈2025.8月号 書評〉小林 美穂子・小松田 健一(著)「桐生市事件──生活保護が歪められた街で」・・・「命の砦」を守る闘いの記録  評者:白井 康彦(フリージャーナリスト) 

  暴かれた「強者の闇」 を単行本にまとめて歴史的資料にする。ものの見事に実現した労作だ。生活保護制度は紛れもなく「命の砦」。ところが世 間には「なまけて生活保護を利用している人が多い」といった誤解が広がっている。 誤解 […]

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〈2025.8月号 書評〉八木 絹(著)「ハンセン病差別の歴史を旅する ──「救済」への問いかけ」・・・差別の事実と向き合い「救済」への歩みを辿る  評者:霜村 三二(元都留文科大学講師) 

  「ハンセン病差別の歴史を旅する」という著者の呼びかけに、私はどう答えたらいいのか。差別の事実と向き合うときの「驚き」「憤り」という 感情を丁寧に深く追うことを「歴史を旅する」と 表現した著者の真っ直ぐな言葉が迫る。  […]

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〈2025.8月号 書評〉春名 幹男(著)「世界を変えたスパイたち──ソ連崩壊とプーチン報復の真相」・・・暗躍する情報機関─その隠された真相に迫る  評者:孫崎 享(外交評論家) 

 本書の著者は、日本における情報機関、特にCIA研究の第一人者である。彼が2000年に 『秘密のファイルCIAの対日工作(上下)』(共 同通信社)を出版した時には驚愕した。 情報機関の活動は秘密に覆われている。それを一部 […]

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〈2025.7月号 緑蔭特集〉ヤニス・バルファキス (著)、斎藤幸平 (解説)、関 美和 (翻訳)「テクノ封建制 ──デジタル空間の領主たちが私たち農奴を支配する とんでもなく醜くて、不公平な経済の話。」 ・・・「個人の自律」を侵すテクノ封建主義 私のおすすめ:内田聖子(アジア太平洋資料センターPARC共同代表) 

 インターネットは資本主義のあり様を根本から変え、破壊的で搾取的なシステムを作り上げた。これは 進歩なのか? ギリシャ生まれの「異端の経済学者」、ヤニス・バルファキス『テクノ封建制──デジタル空間の領主たちが私たち農奴を […]

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〈2025.7月号 緑蔭特集〉林典子 (著)「フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳──いま、この世界の片隅で」 ・・・あるジャーナリストの重い覚悟 私のおすすめ:中川七海(報道機関Tansaリポーター) 

 私が所属する報道機関Tansaがニューヨークタイムスの取材を受けた際、林典子さんが、カメラマンとして、同道してきた。 後日、記事に載った写真に引き込まれた。Tansa編集長が、街路樹の下で立っている。報道機関の紹介だか […]

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