〈2025.10月号 書評〉徳田 靖之(著)『菊池事件 ハンセン病差別の壁をこえるために』・・・差別と排除に加担する司法の罪 評者:黒川 みどり(静岡大学名誉教授)
菊池事件は、1952年に熊本県で起きた爆破事件と翌年の殺人事件で、ハンセン病患者のFさんが犯人とされ無実を訴えながらも「特別法廷」で死刑を執行された。その背景にはハンセン病への偏見差別と、国家による隔離政策があった。「 […]
〈2025.10月号 書評〉橋本 健二(著)『新しい階級社会 最新データが明かす〈格差拡大の果て〉』・・・5つの階級に分かれた格差社会の実態を暴く 評者:栩木 誠(元日経新聞編集委員)
いまや日本社会の〝代名詞〟ともなったのが、 1980年代前後から顕在化してきた「格差拡大」である。格差が固定化され「新しい階級社会」が 創出されたのである。 前著『新・日本の階級 社会』で、その実態を描 いた著者が、「 […]
〈2025.10月号 書評〉井上 伸(著)』民主主義のためのSNS活用術 連帯と共感のツールとして』・・・政治や社会を動かす重要なツールをいかに使うか 評者:矢野 彩子(愛知県医労連書記長)
「SNSって炎上が怖いから見ているだけ。投稿しても見てもらえない」と思ってませんか?著者のSNS投稿は、独自のグラフを用いて説得力があります。筆者の属する愛知県医労連も、を入れるきっかけとなりました。 選挙の投票に際し […]
〈2025.10月号 書評〉金子 勝(著)『フェイクファシズム 飲み込まれていく日本』・・・産業の衰退、農村は荒廃etc. 〈アベノミクス〉からの脱却を 評者:坂本 充孝(元東京新聞編集者)
世界で民主主義と自由主義が揺らいでいる。気鋭の経済学者である著者は、その理由をフェイクファシズムの台頭にあると説く。フェイクファシズムとは何か。独裁的指導者が私利的目的のために使う政治手法で、特徴は3つあるという。 ① […]
〈2025.10月号 書評〉早川 タダノリ(著)『「日本スゴイ」の時代 カジュアル化するナショナリズム』・・・事実や真実を押しつぶす 「日本スゴイ」の危うさ 評者:鈴木 耕(編集者)
なにしろスゴイ、誰がなんてったってスゴイ、政府が音頭をとって「クールジャパン」を叫べばテレビや雑誌、書籍、時 には新聞までが呼応する官民挙げての「ニッポン万歳」大合唱。 かくて日本はスゴイ文化、スゴイ技術、スゴイ 風土 […]
〈2025.9月号 書評〉後藤 秀典(著)『ルポ 司法崩壊』・・・国民からの信頼に背く最高裁 評者:樋口 英明(元裁判官)
福島原発事故による損害について、最高裁の多数意見は国に賠償責任がないとした。国に賠償責任があるとした説得力に富む三浦裁判官の意見ではなく、なぜ全く説得力のない意見が、多数意見なったのだろうか。 本書は、その背景を綿 密 […]
〈2025.9月号 書評〉安田 菜津紀(著)『遺骨と祈り』・・・〈不条理が強いられた場所「踏みつけられる」人びと〉 評者:川上 泰徳(中東ジャーナリスト)
フォトジャーナリストである著者が、福島、沖縄、パレスチナの3つの場所を巡る6年間の取材記録である。共通するのは「不条理を押しつけられた場所」。 福島では遺骨を探す男性。地震と津波で父と妻と次女を失い、原発事故で避難する […]
〈2025.9月号 書評〉辻元 清美+小塚 かおる(著)『日本政治の大問題』・・・有識者の貴重な意見や分析を糧に日本の在り方を探る 評者:鈴木 耕(編集者)
リベラル派の若き旗手として政界に躍り出た辻元清美氏も、もう還暦を越えた。今や重鎮政治家として日本の舵取りを担うべき地位にいる。彼女が対談相手に選んだのが日刊現代第一編集局長の小塚かおる氏。日頃から息が合う友人関係だから […]
〈2025.9月号 好書耕読〉与那覇 恵子(著)『沖縄を「悲しい宿命の島」にするのは誰か?』・・・沖縄が告発する日本の危機 選者:谷山 博史(沖縄対話プロジェクト発起人)
与那覇恵子『沖縄を「悲しい宿命の島」にするのは誰か?』(コールサック社)は、沖縄を「宿命の島」にしようとする者たちへの怒りと抵抗の書であり、怒りと抵抗に実証的な肉付けを与える理論の書である。 この原稿を書いている時、著 […]
〈2025.9月号 好書耕読〉烏谷 昌幸(著)『となりの陰謀論』・・・国際政治をも動かす陰謀論 選者:岩下 結(「本屋とキッチンよりまし堂」店主)
参院選における参政党の躍進は、多くの市民を戦慄させた。それは彼らの極右的主張のみならず、荒唐無稽な陰謀論や似非科学(「メロンパン」 から「文化マルクス主義」まで)を公然と語り、メディアやSNS上で、どれほど否定されても […]
〈2025.8月号 書評〉山田 健太(著)『転がる石のように──揺れるジャーナリズムと軋む表現の自由』・・・表面の時流に流されず現場から説く鋭い定点時評 評者:藤森 研(JCJ代表委員)
戦後80年。日本の言論状況はどう変遷してきたのか。 「約20年ごとに、構築期・躍動期・挟撃期(権 力と市民双方からのメディア攻撃)・忖度期にま とめられる」と、著者は さらりと書く。テレビ誕生、ベトナム報道、報道 の人 […]
〈2025.8月号 書評〉萩原 健(著)『ガザ、戦下の人道医療援助』・・・破壊しつくされる日常その中で命を救う活動 評者:猫塚 義夫(北海道パレスチナ医療奉仕団団長)
イスラエルによるガザの軍事侵攻は、2年弱の 間に6万人の犠牲者と14万人の負傷者を生み出した。瓦礫と化したガザでは、多くの餓死者が出るなど、多面的なジェノサイドが進行中だ。 著者は運動体としての国境なき医師団(MSF) […]












