〈JCJ沖縄声明〉南城市長の取材対応に抗議する

 古謝景春南城市長が琉球新報の記者を突き飛ばしたと報道された。事実であれば、取材を暴力と威嚇で妨害しようとするものであり、公人としての資質を欠くと言わざるを得ない。市長は琉球新報社の抗議を真摯に受け止めるべきだ。

 報道によると、6月18日の南城市議会終了後、市長は、歩きながら記者からセクハラ疑惑について質問され、記者の背中を突き飛ばした。記者は「暴行を振るったということでいいのか」と市長に問いただしたが、市長は無言で市長室に入った。

 記者は、市長の発言を録音するためレコーダーを差し出しながら横向きの姿勢で質問していたところ、市長に背中を突き飛ばされ、「あやうく倒れそうになるのを、足を踏ん張りどうにかこらえた」と述べている。

 翌19日、琉球新報社は島洋子統合編集局長名で「今事案は暴力によって記者の安全を脅かし、取材活動を妨害したものだと考える」と市長と南城市宛てに抗議文書を送付し、謝罪と経緯の説明を申し入れた。これに対し市は25日に文書で回答し「突き飛ばし行為の事実はない」と否定。逆に「行き過ぎた取材活動があった」と記者を批判した。琉球新報社は「(記者の)録音データでは記者は丁重に質問をしており、職員の指示にも従っている」と反論する再抗議文を同日送付した。

 市長のセクハラ疑惑を巡っては、訴訟になっている元市長車運転手の女性のほか、市議会特別委員会が実施した職員アンケートでも複数の被害が訴えられている。しかし、市長は十分な説明をしておらず、記者が市長に説明を求めるのは当然のことだ。追及を避けるため突き飛ばしたとしたら言語道断である。

 突き飛ばし行為は、それによりけがを負うことがあれば傷害罪も成立し得る暴力だ。今後、市を取材する他の記者への対応にも影響しかねず看過できない。

 記者・ジャーナリストの取材活動は、知る権利を守り、社会正義の実現を目指すものだ。市長は市民の知る権利にきちんと向き合うべきであり、暴力行為があったとしたら断じて許されない。市長の不誠実な対応に抗議する。

                                           以上

 

                 2024年7月10日

                             日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ 沖縄)