〈JCJ 8月集会〉軍拡の動きに、私たちはどう対抗するか ―― 戦後80年を前に 【集会に向け寄せられたメッセージ から(橋詰 雅博(JCJ出版部会))】
■東京都南鳥島は陸自ミサイル射撃場整備で一変、核のゴミ最終処分地説は幻に、おぞましい光景目に浮かぶ。
中台戦争勃発を見据えて南西諸島に自衛隊の基地が次々と建設される沖縄県。県民は戦争の足音がヒタヒタと近づいていることを肌で感じているだろう。東京に住んでいると、予想はつくけれど、感覚がつかめず、他人事に陥ってしまう。
しかし、最近ある出来事で自分の心は変化した。南鳥島に陸上自衛隊の地対艦ミサイル訓練用の射撃場が整備される。日本最東端のサンゴ礁でできた南鳥島は小笠原村の一部で本州から1800㌔㍍離れているとはいえ、れっきとした東京都の島だ。射程100㌔を超えるミサイル射撃場の整備は日本で初めて。住所が東京都という場所から再来年以降、ミサイルがバンバン海上に向かって発射される――おぞましい光景が目に浮かぶ。やはり戦争がこちらに向かってやってきているという感じを持ち都民である自分の心はざわついている。
南豊島には以前から関心を抱いていた。なぜか、この小さな島こそ日本で唯一と言っても過言ではない核のゴミの地層処分(地下深く埋める)の適地と話題になったからだ。
これを提案したのは静岡県清水市に施設を構える東海大学海洋研究所の平朝彦所長(地質学者)だ。県知事時代の川勝平太氏との対談(今年1月静岡県の総合情報誌「ふじのくに」に掲載)で、平所長はこう述べている。
「南鳥島は太平洋プレート(太平洋の海底の大部分を占める岩盤)上にある唯一の日本領土で、周囲6㌔㍍の国有地。最大の特徴は地質的な安定性です。地震、火山活動はまず起きない。これは確信を持って断言できます。なおかつ、住民がおらず漁業権など、いろいろな権利が設定されていない。地下へ数㌔㍍のボーリングをして、使用済み核燃料を処分するキャニスター(核のゴミの廃液をガラス原料で溶かし合わせたものが入ったステンレス容器)を入れて、セメントで封印することもできます。地球上で最高レベルの安定性があるので、壊れる不安はまずありません」「最適な核廃棄物処理方法だと信じて疑いません」
これに対して川勝知事は「国難を救える島」「モデルケースを日本が提供できれば、世界に誇れる提言にもなりますと」と平所長の研究を称えた。
現在、島には海上自衛隊と気象庁職員が常駐しているだけで、一般住民はいない。
実は平所長は、南鳥島は核のゴミの地層処分の最適地とローカル局の北海道放送(HBC)の取材で3年前に提言している。所管の経産省にもこの提言を伝えたが、返事はなかったそうだ。
地震大国・日本には10万年以上も核のゴミを封じ込める適地はないと言われているが、南鳥島が適地となるとその説は覆る。僕は平所長に取材を申し込んだが、残念ながら「南鳥島での地層処分をさらに研究したい」と断られた。
また島にはEV(電気自動車)に使われるレアメタルが豊富な鉱物が大量にあることが東京大学の調査で明らかになった。 ミサイル射撃場の整備により、核のゴミの最終処分地候補は幻の説に終わり、レアメタル商業化も風前の灯火になりそうだ。南鳥島は今の姿から一変するのは間違いない。
橋詰 雅博(JCJ出版部会)
■開催趣旨と呼びかけ
来年は戦後80年。しかしこの間、自公政権は憲法9条を骨抜きにし、「敵基地攻撃能力」の保持を決めるなど、平和を脅かす軍拡への道を突き進んでいます。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)は「2度と戦争のためにペン、カメラ、マイクを持たない」という決意のもと、コロナ禍以降5年ぶりに8月集会を開きます。市民とジャーナリストが手を携えて軍拡に対抗し、平和を築くためにはどうしたらよいのか、ともに語り合う場にしていきたいと考えています。
■プログラム
第1部:基調講演
●川崎 哲(かわさき あきら)さん
ピースボート共同代表。2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンぺーン(ICAN)」の国際運営委員兼会長(2012~14年同共同代表、14年から国際運営委員、21年から会長兼任)。核兵器廃絶日本NGO連絡会の共同代表として、NGO間の連携および政府との対話促進に尽力してきた。ピースボートでは、地球大学プログラムや「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」をコーディネート。2009~2010年、日豪両政府主導の「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」でNGOアドバイザーをつとめた。立教大学兼任講師。日本平和学会理事。著書に『核兵器 禁止から廃絶へ』(岩波ブックレット、2021)、『僕の仕事は、世界を平和にすること。』(旬報社、2023)、『核兵器はなくせる』(岩波ジュニア新書、2018)など。2021年、第33回谷本清平和賞受賞。1968年生まれ、東京大学法学部卒業。
第2部:シンポジウム
●川崎 哲(かわさき あきら)さん(同上)
●大森 淳郎(おおもり じゅんろう)さん
1957年埼玉県生まれ。1982年NHK入局。ディレクタ-として主にETV特集を手掛ける。2016年に放送現場を退き、NHK放送文化研究所に研究員として勤務。22年退職。著書に『BC級戦犯 獄窓からの声』(日本放送出版協会、2009年)、『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』(講談社、2012年)、『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版、2023年)、全て共著。
●久道瑛未(ひさみち えみ)さん
2018年、東北大学法学部卒業、20年に一橋大学法科大学院修了、22年、弁護士登録(74期)。一般市民法務・企業法務に幅広く取り組む。中でもインターネット上の名誉毀損対応、発信者情報開示請求の対応が多い。学生・修習生時代から公益活動に広く関心をもち、ビジネスと人権・憲法問題・公共訴訟・環境問題などをテーマにシンポジウムやイベントの企画運営を行ってきた。弁護士登録後も継続して弁護士会委員会活動・特定非営利法人CALL4の活動等プロボノ活動にも積極的に取り組んでいる。
●藤森 研(ふじもり けん)JCJ 代表委員・コーディネーター
■会場参加される方は事前にJCJ事務局への連絡をお願い致します。
メール:office@jcj.gr.jp 電話:03–6272-9781(月・水・金 13:00〜17:00)
■オンラインでご参加の方へ当
当該イベントはインターネットを通じオンラインで視聴参加出来ます。
お申し込みはhttps://jcj0817.peatix.com/へのアクセスかスマホで下のQRコードを読んで。お一人1,000円、ピーティックス ( Peatix )からのお支払となります。
■会場(エデュカス東京)アクセス