〈JCJ声明〉参政党の特定の記者排除は「報道の自由」を侵すもので強く抗議する

 「日本人ファースト」を掲げ参院選で躍進した参政党が、7月22日の参議院議員会館での定例記者会見の場から、神奈川新聞の記者を排除した。報道の自由を侵し、ひいては市民の知る権利を損ねるもので、公党としてあってはならない行為だ。
 参政党は、排除の理由を「(当該記者は)本党の街頭演説で大声による誹謗中傷などの妨害行為に関与していた」とした。しかし、参政党の候補者が「外国人は優遇されている」と根拠のない主張を繰り返したり、差別に抗議する市民を「非国民」と呼んだりしたことを批判的に報じ、現場でも口頭で誤りを指摘したにとどまる。つまるところ、意にそわない記事を書く記者は会見から締め出すのが理由だったと思われる。
 しかし、「広報」と「報道」は違う。報道の場である記者会見では批判も含めて多様な声を代弁する記者の質問を受け、答えることが公党には求められる。それは、オープンに渡り合う場だ。参政党はことし9億円余りの政党交付金を受ける。私党ではなく公党であることを、自覚してほしい。
 「日本人ファースト」の論理が、外国人に対し、さらに「非国民」とされた者へと広がっていけば、民主主義以前の悪夢のような社会が遠くない。少なくない市民が、その恐れを感じ始めている。今回の事態を各新聞、テレビがニュースとして報じたのも、神奈川新聞に限らず、報道の自由一般に関わる問題ととらえるからだ。
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、こうしたメディアの動きに連帯の声を挙げていく。
 参政党には、記者会見での特定の記者の排除が、人びとの知る権利をも奪うことを認識し、今後は繰り返さないことを強く求める。


                                  2025年7月29日     
                         日本ジャーナリスト会議(JCJ)