〈JCJ声明〉核兵器禁止条約への参加と原発の廃止、今こそ日本政府に求める

 ロシアのウクライナへの侵略が引き金で、日本国内に二つの不穏な動きが出てきた。プーチン大統領の核兵器使用も辞さずの発言に乗じて自民党の安倍晋三元首相が「核共有」に言及したことだ。核共有とは、米国保有の核兵器を在日米軍基地などに配備し、日米が共同で管理・運用する。日本維新の会の松井一郎代表は「議論するのは当然」と同調。自民党の福田達夫総務会長も「どんな議論も避けてはいけない」と否定していない。岸田文雄首相は火消しに回っているが、国是の非核3原則を反故にする動きを決して見逃してはいけない。日米が核共有すれば、核攻撃の口実を与える。日本を一段と危険な状態に追い込むのは必至である。

 もう一つは、原発早期再稼働論の再燃だ。欧米の経済制裁で世界第3位の産油国ロシアからの原油供給が停滞すれば、原油がさらに高騰する可能性がある。エネルギー危機への対応だとして、維新の会の松井代表は「止まっている原発を再稼働すべきだ」と打ち上げた。萩生田光一経産省相も「電力供給のため再稼働は重要」と原発にこだわる姿勢を示している。原発回帰ムードを高める動きであり、原発事故の重大性を忘れさせようとしている。

 日本政府に求める。昨年1月に発効した核兵器禁止条約の話し合いのテーブルについてほしい。59カ国が批准し86カ国が署名済みの核禁止条約は核保有そのものを違法とした。すべての国の参加が許される第1回核禁止条約締約国会議の議長を務めるオーストリアのアレクサンダー・クメント軍縮大使は「唯一の戦争被爆国の日本政府の参加は重要」と訴えている。この参加の機会を逃すべきではない。さらに条約の署名・批准を決断すべきだ。またロシアのプーチン大統領に対して、軍の撤退を求めると同時に、核による脅迫は絶対に許すことができないと厳重に抗議するべきだ。

 原発は早期に廃止を。ロシアによるウクライナ原発の攻撃は世界を震撼させた。原発は標的になりやすい。日本列島には何十基も原発がある。ミサイル攻撃を受ければ、日本列島は壊滅的な打撃を被る。安全保障上、最大のリスクである原発の廃止を素早く進めるのは当然だ。

                  2020年3月7日
                        日本ジャーナリスト会議

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