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- 〈2025.6月号 書評〉井出留美著「私たちは何を捨てているのか 食品ロス、コロナ、気候変動」・・・食品が内包する地球規模の大テーマ 評者:大井 洋(筑波大学名誉教授) 著者は栄養学分野で研究を重ね博士号を取った後に、食品ロス問題ジャーナリストとして活躍している。本書は文献や情報検索に基づく明確な文章で書かれ、説得力のある内容となっている。著者のこだわりだけで書かれた本ではない。 食品 […]
- 〈2025.6月号 書評〉高世 仁著「ウクライナはなぜ戦い続けるのか ジャーナリストが戦場で見た市民と愛国」・・・戦場の現場で掴んだ愛国を支えるもの 評者:武隈喜一(元テレビ朝日モスクワ支局長) ウクライナ停戦交渉を巡る情報が、メディアに溢れる。だが忘れてならないのは、今でも戦争が続き、市民の死傷者が続出していることだ。 本書は著者がウクライナの戦場を訪れ、ロケットランチャー部隊やドローン部隊、ロシア軍が残した […]
- 〈2025.6月号 書評〉吉田敏浩著「ルポ 軍事優先社会──暮らしの中の「戦争準備」・・・日本各地を歩いて分析 急速に強化される戦争態勢 評者:末浪靖司(ジャーナリスト) 本書は、米軍と自衛隊の一体化が進み、強化されている実態を分析し、この問題に関わる情報を豊かに分かりやすく読者に提供している。 岸田内閣が決定し石破内閣が実行している「国家安全保障戦略」などの安保3文書と、そこに書かれた […]
- 〈2025.6月号 書評〉林 博史著「沖縄戦 なぜ20万人が犠牲になったのか」・・・天皇制という国家体制が押しつけた無慈悲な犠牲 評者:鈴木 耕(編集者)自民党の西田昌司議員が、沖縄での講演会で述べた歴史改竄発言が、大批判を浴びている。 沖縄戦の実相をまったく学ばずに、いい加減な思い込みで、沖縄ヘイトに加担する政治家の底の浅さ。せめて本書を読むくらいの誠実さを持ってほし […]
- 〈2025.6月号 書評〉英 伸三著「英 伸三、中国江南を撮る 老街茶館」・・・茶館に集う中国庶民の姿を生き生きと捉える 評者:中村梧郎(JCJ代表委員)上海西郊・朱家角鎮の倶楽部茶館に始まり、永昌鎮の南に至る地域の36軒を収めている。中国の文人墨客や庶民に愛された茶館ラオジエ(は、憩いの場であり、情報交換や商談の場でもあった。本書の写真には人の暮らしや人情が暖かく滲ん […]
- 2025年6月号 通巻807号主な内容 ・学術会議法人化法 抗議の中強行 ・市民・研究者400人「闘い新た」 ・沖縄慰霊の日 もう一つの「敗戦」の日 ・8・6式典「平和公園」規制の愚 ・「平和宣言」に市民の意志反映を ・天皇 広島訪問 児童動員「お出 […]
- 〈2025.5月号 書評〉樋口英明著「原発と司法 国の責任を認めない最高裁判決の罪」・・・被災地の人々から学ぶ 痛みを伴う貴重な教訓 評者:松久保肇(原子力資料情報室・事務局長) 本書は著者である樋口英明元裁判官が、明快に原発の危険性を説く。彼は福井地裁による2014年の関西電力大飯原発3・4号機運転差し止め判決、同じく福井地裁による2015年の関西電力高浜原発3・4号機の運転差し止め仮処分決定 […]
- 〈2025.5月号 書評〉藍原寛子著「震災後を生きる13人の物語 フクシマ、能登、そしてこれから」・・・被災地の人々から学ぶ 痛みを伴う貴重な教訓 評者:坂本充孝(ジャーナリスト) 天災は故郷を壊わし、生活をなぎ倒し、心を打ちのめす。そんなとき人は、どうやって起き上がり、歩き始めるのか。東 日本大震災と能登半島地震。二つの災害現場を舞台に復興に力を尽くす13人の物語を、福島在住の著者が丹念に追跡す […]
- 〈2025.5月号 書評〉宮田 律著「イスラエルの自滅 剣によって立つ者、必ず剣によって倒される」・・・国家存亡の危機にある衝撃的な実態と要因を解く 評者:栩木 誠(元日経新聞編集員) 英国の〝三枚舌外交〟の所産ともいえる、イスラエルの建国を契機に、約80年にわたり、戦火が絶えないパレスチナ。今も国際法を無視した、イスラエルによるガザ地区などへの非人道的な攻撃が続く。今回の侵攻以降だけでも、子どもを […]
- 〈2025.5月号 書評〉永野慎一郎著「秘密資料で読み解く 激動の韓国政治史」・・・韓国民が自らの闘いを通して民主主義を勝ち取った軌跡 評者:鈴木 耕(編集者) 昨年12月4日、韓国の尹 錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然、非常戒厳布告したのには、誰しも度肝(どぎも)を抜かれたに違いない。 民主国家において、国内や周辺地域で特段の危機的状況が起きていないにもかかわらず、非常事 […]
JCJとは
日本ジャーナリスト会議(略称JCJ=Japan Congress of Journalists)は新聞や放送、出版、広告、ネットの分野で働く人たちとそのOB・OG、さらにフリージャーナリスト、機関紙や市民メディアの編集者、学者、ジャーナリズムに関心を持つ市民ら、幅広い方々が個人で加入し、活動している団体です。
太平洋戦争に新聞、放送などが全面協力し、報道で戦争を煽り、人々を死地に追いやったことへの痛烈な反省から、「再び戦争のためにペン、カメラ、マイクを取らない」を共通の目的に1955年に設立されました。

JCJが目指すこと
❶真実の報道を通じて世界の平和を守る
❷言論、出版、表現の自由を守る
❸ジャーナリスト相互の親睦をはかり、結束を固める
❹ジャーナリストとしての識見を高め、生活の向上をはかる
❺世界のジャーナリストとの連帯、協力、交流をはかる
❻不当に圧迫されたジャーナリストを支持、援助する
JCJの主な活動
❶JCJ賞を贈る=優れた新聞報道、放送番組、出版物などを毎年表彰し、取材グループや個人にJCJ賞を贈っている。贈賞式は、太平洋戦争敗戦の日である8月15日の前後に開催し、反戦の決意を新たにしている。
❷12月集会の開催=旧日本軍がハワイ真珠湾を攻撃し、太平洋戦争が始まった12月8日を忘れないため、その前後に平和とジャーナリズムを考える集まりを開いている。
❸そのほか、分野・テーマごとの多彩な催し=メディア志望の学生向けに現場記者らを講師に迎えて開く「ジャーナリスト講座」、出版分野の問題を考察するJCJ出版部会の講演会、メディアの今を考える「ジャーナリズム研究会」、沖縄の基地問題などを中心に学ぶ「沖縄ジャンプナイト」、NHK・民放各局の問題点を追及するJCJ放送部会の講演会や「放送を語る会」と共催の集まり・行動などがある。
❹月刊機関紙「ジャーナリスト」の発行=メディアの世界で起きている問題をタイムリーに取り上げ、現場報告や専門家の論考などを載せ、書評欄も設けている。
❺ネットで発信=公式X(旧twitter)、公式ブログ 「DailyJCJ」、公式facebook で様々な情報を連日発信している。
JCJの組織編成(2025年度)
役員は代表委員(6人)と運営委員(21人)で構成し、事務局長を置いている。代表委員:白垣詔男、隅井孝雄、中村梧郎、藤森研、山口昭男、吉原功
事務局長:古川英一
事務局次長:鈴木賀津彦
運営委員:井浦徹、伊東良平、大場幸夫、川村高子、川田マリ子、河野慎二、坂本充孝、杉山正隆、須貝道雄、鈴木賀津彦、谷岡理香、橋詰雅博、廣瀬功、藤森研、古川英一、保坂義久、丸山重威、水上人江、矢野昌弘、山中賢司、横田宗太郎
東京事務局のもとにはJCJ賞推薦委員会、機関紙編集会議、組織・財政委員会、書評委員会、ファイリング委員会などがあり、会員が分担して参加している。
ほかに、北海道、神奈川、埼玉、東海、新潟、関西、岡山、広島、香川、北九州、福岡、沖縄などのJCJ地方支部と、分野別に放送、出版、広告などの部会があり、独自の活動をしている。
毎年のJCJ賞は選考委員会が決める。
選考委員:上西充子、斎藤貴男、酒井憲太郎、鈴木耕、永田浩三、藤森研
協力団体
新聞労連、民放労連、出版労連などが加わる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、メディア総合研究所、自由法曹団、九条の会、日韓学生フォーラム実行委員会など

国会正門前で「学問の自由を守れ」「任命拒否は許さない」「学術会議への人事介入は許さない」と菅政権批判の抗議行動が 次々と繰り広げられた。JCJも学術会議が推薦した会員候補の任命拒否に対し抗議声明を発表した
(2020年11月3日、東京・国会前で=酒井憲太郎撮影)

月刊機関紙「ジャーナリスト」を発行。報道の自由の侵害など、メディアをめぐる問題を取材し、報道している。

マスコミ9条の会とJCJ協賛した集会「安倍政権の末路。」。発言者は青木理(ジャーナリスト)さん、杉尾秀哉(参議院議員)さん、司会は砂川浩慶(立教大学教授)さん
(2018年7月14日、東京・水道橋=河合良一撮影)

秘密保護法廃止・安倍政権退陣を求める共同行動の呼びかけ人による記者会見。中央は99歳の、むのたけじ氏。JCJは報道規制につながる問題に対し抗議の声を上げ続けている
(2014年1月14日、東京都千代田区の日本プレスセンター=酒井憲太郎撮影)